2017/3/31 完成
自作床暖房
8畳間の和室の畳表がかなり傷んできたので、DIYでフローリングにしようと思っていたのですが、かねてから関心のあった床暖房にするにはこの機会しかないと思い、DIYに挑戦してみました。

床暖房といっても色々種類があるようですが、ランニングコストや施工性を考えて、ガス給湯器を熱源とする温水パイプによる方法と決めていました。温水パイプの材質は熱伝導率の高い銅がいいかなと考えていたのですが、ネットで自作例を調べると、銅パイプは部品の加工や漏水対策など、DIYではかなりハードルが高そうでした。また、銅パイプを用いた温水パネルキットもありましたが高価でした。

ネットでさらに調査すると、最近では温水パイプの材質は架橋ポリエチレン管というものが主流になっていることを知りました。架橋ポリエチレン管の長所は、
・軽い
・柔軟性がある
・耐食性に優れる
・耐衝撃性に優れる
・幅広い使用温度
等々、良いことずくめで、唯一の欠点は熱伝導率が金属に比べて劣ることくらいでしょうか。

ということで架橋ポリエチレン管を使用したガス床暖房に決定です。
写真は畳を撤去したところ。畳の下は床板の上に防虫シートが敷かれていました。25年前のものなので防虫効果は?です。
最初に根太を設置します。防虫シートは剥がさないでそのままにしておきました。通常のフローリングは根太の上にコンパネを捨て張りし、その上にフローリング材を貼るようですが、床板が厚くなると、熱の伝わり方が鈍くなるようなが気がしたので、フローリングは温水パイプに密着するように直張りとし、床板が薄くなる分強度を上げるため、根太間の中心間隔を18cmと狭めにしました。
温水パイプ(入/出)と熱源機のリモコンケーブルの引き込み穴を空けておきます。一番左側の穴は途中で金物に遮られて貫通しなかったので、さらに3本空けました(汗)。温水パイプの直径は13mm(呼び径10mm)です。
熱源機のリモコンケーブルは室内に引き込んだ後、床下から壁の裏側を通してリモコンに接続します。リモコンケーブルは専用のものではなく、家に大量に余っていたLANケーブルを流用しました。
根太の間に断熱材として30mm厚の発泡スチロー
ル板を敷き詰めます。発泡スチロール板の元の
サイズは1830mm×915mm。これを自作の発泡
スチロールカッターで等幅に切断しました。2本の
はたがねが電極になっており、ニクロム線の高さ
を調整できるようになっています。電源は5Vの
ACアダプタ。


自作の発泡スチロールカッター。スイッチ
とパイロットランプ付き。
断熱材の上に温水パイプを引いていきます。温水パイプは100mの長尺の架橋ポリエチレン管です。架橋ポリエチレン管は柔軟性があるといっても、水道ホースのように柔らかくはないので、途中で固定しながら引いていかないと跳ね上がってっしまい、思い通りに留まってくれません。ホースを傷つけないよう布ひもを巻いて、布をネジ止めする方法で固定していきます。根太をまたぐ箇所は根太に切れ込みを入れました。温水パイプは途中に継手をかますことなく給湯器に直結します。
床の断面図。根太の高さは40mm。断熱材の厚さは30m。この上に直径13mmのパイプを乗せると3mはみ出ますが、床板を乗せたときに断熱材がへこみ、温水パイプを床板に密着させる効果をねらいます。といっても発泡スチロールは一度へこんでしまうとあまり元に戻らないので、そのうちへたってくると思いますが、空気層を介しても熱は伝わると思います。
温水パイプの上にアルミシートを敷き詰めます。熱伝導率の高いアルミシートは、温水パイプの熱を床板の広い範囲に効率よく拡散するのではと考えました。アルミシートは厚さ0.2mm。根太にタッカーで固定していきます。その上に床材を敷いていくわけですが、床材は釘などで固定せず、はめ込むだけにしました。固定してしまうと床下に問題が発生したときにメンテナンスができなくなると思ったからです。なにしろDIYなので予想外の問題が潜んでいる可能性もあります。フローリング材はサネと呼ばれる凹凸でお互いの板が咬み合っているので、1枚ずつ隙間なくはめ込んで部屋の端で固定すれば剥がれることはないはずです。

後日談ですが、アルミシートは結果的に失敗でした。確かに放熱効果があり、床が均等に暖まるのですが、床板とアルミシートの熱膨張率の違いからか、床暖房開始時と終了時、床板が冷→暖、暖→冷に変化する過程できしみ音が発生するのです。それほど大きな音ではないのですが、就寝時など、あちこちでミシミシ結構気になる音がします。ということで床板を再度はがしてアルミ板のみすべて撤去してしまいました。床板を固定していたら除去は容易ではなかったでしょう。
床板は3.3平米6枚入り9600円の床暖房対応のもの。最寄りのホームセンターで購入。木目プリントですが、そこそこ高級感もあります。天然木も検討しましたが、床暖房対応は高価なのでやめました。加重がかかると心配な床板の継ぎ目が根太の中心にくるよう、配置を考えて板材をカットしてあります。床板のカットはホームセンターでやってもらいました。
部屋の端は5mmくらい余裕を持たせて見切り材をはめ込み、床板が横方向にずれないようにしました。床板を固定していないので、普通のフローリングより足音が少し大きめですが、きしみ音のようなイヤな音ではないので気にならないです。
床暖房のリモコンはこの位置にしました。壁裏にケーブルを通すのに専用のワイヤがあれば便利なのですが、金属製の巻き尺を差し込んで、なんとかLANケーブルを引き上げました。
床暖房用熱源は、ヤフオクでリンナイRH-101W2-1(A)新品を23,000円でゲット。この熱源機に対応するリモコンがどれなのか、取扱説明書を見てもよく分からなかったので少し悩みましたが、同一メーカーの最上位機種であれば上位互換で適合するだろうと思い、リンナイFC-W09DR-E新品をやはりヤフオクで5000円即決で落札してしまいました。結果的には何の問題もなく使用可能でした。ただ、このリモコンはA面B面2系統のオン/オフが個別に設定でき、リモコンケーブルも2系統あるのるのですが、今回のDIYは1系統.で足ります。しかし、将来の拡張性を考えてリモコンケーブルの結線は2系統ともに接続しておきました。現在はA面B面どちらを選んでも同じ動作です。
リモコンケーブルは1系統につき3本必要で、2系統では6本になりますが、LANケーブルは軸内に8線あるので間に合います。しかし実際には1系統3本のうち2本は電源の+−で使用し、残りの1本が信号線なので、信号線だけ別にして、電源線を共有すれば、2系統でも4本あればOKです。写真はRH-101W2-1(A)本体の制御板。右側の黒い端子がリモコンケーブル差し込み口で、左の白い端子が熱動弁駆動用です。最大10台の端末(リモコン等)と、それに対応した熱動弁の接続が可能です。DIPスイッチの設定で1台のリモコンで複数の熱動弁を駆動することもできます。リモコンFC-W09DR-Eの2系統のケーブルは上部2カ所に接続しました。今回のDIYは1系統だけなので、熱動弁は必要ないのですが、将来他の部屋にも床暖房を増設する場合、熱動弁を接続すれば、温水の分岐を個別にコントロールすることが可能になります。
熱源機はガス栓のある給湯器の隣に設置。給湯器と同じように家の壁面に木ねじで直付けにしました。サイディングの下地合板にしっかり固定してあります。ガス栓と熱源機の接続は13mm強化ガスホースによるTU接続です。熱源機の設置工事説明書には金属管接続専用と書かれていますが、ネットで長尺の金属ガス管が販売されていないようなので、仕方なく、入手可能な強化ガスホースにしました。熱源機の下部を写真左側の給湯器のように配管カバーで覆うとガス管が見えなくなるので、メーカーではゴム管を禁止にしているのだと思います(強化ガスホースの隠蔽接続は禁止されている)。しかし、露出接続であれば問題なしです。なお、ガス栓と機器の接続には資格が必要です。私は8年前にガス可とう管接続工事監督者資格を取得済み。この資格は監督だけではなく自らの施工もOK。ちなみにGSS(ガス機器設置スペシャリスト)は施工資格のみということになっています。
白いテープで巻いてある管が温水パイプ(入と出)。CCHジョイントと呼ばれる継手で接続します。2つの温水パイプの中間に高温用(温水ヒーター等)の接続口がありますが、床暖房では使用しないので、止水栓で止めてあります。手前左側が電源コードとリモコンケーブル。中央の緑色のホースはオーバーフロー管。施工後最初に本体上部のキャップを開けて、循環用の水道水を注入するのですが、入れすぎるとここから排出されます。右手前の黒いキャップは、給水接続口。温水循環用の水道水をここから供給します。今回は手動給水にしたので使用しません。手動給水の場合、約4ヶ月ごとに補水が必要ですが、水道工事をするより手間がかからないと思います。水が足りなくなるとリモコンにエラーが出るので分かります。右奥はガス供給口。
温水パイプとリモコンケーブルはサイディングに穴を開けて室内に取り込みました。ここは風呂場の配管メンテナンス用の窓があるので、配管工事がとても助かりました。
メンテナンス用窓から和室裏側の壁がよく見えます。温水パイプには保温材を巻いています。

今回のリフォームにかかった費用は総計で13万円位でしょうか。アルミ板の3万円がなければ10万円で済んだ計算になります。

部屋の空気を汚さず、無音で足下から部屋全体が暖まるので、とてもいい感じです。気になるガス代ですが、一冬本格的に使ってはいないので、まだよく分かりません。1年後あたりに追加報告したいと思います。

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