FE108EΣ 測定、試聴
周波数特性を見ると、高域に向かってレベルの強弱を繰り返し、10KHz〜13KHzのピークの後は急降下するという、凹凸のあるグラフを描いています。低音の伸びと量感は4機種中トップで、スピード感も良いのはさすがバックロードホーン専用ユニットです。中高音もハリがあり、ボーカルやギターが前に出てきます。ドラムスも迫力がありますが、スネアドラムの音が洗面器を叩いた様に聞こえるのは、このユニットのキャラクターでしょうか。トランペットの金管の響きに紙臭さが残るのも気になりますが、パンチのある音という点ではこのユニットの右に出るものはないと思います。
W4-1337SDF 測定、試聴
チタンコーン+アルミフェイズプラグとアルミフレームで銀色に輝くスピーカー。ルックスは非常に良いが、音がどうなのかとても気になるユニットです。周波数特性を見ると高域は8KHzあたりにディップがあり、その上の10〜15KHzにピークがあります。これが分割振動というものでしょうか。このピークは他のユニットと比べてかなり大きいので、音にどういう影響があるか気になるところです。音楽を聴いてみるとキンキンした感じは全くなく、むしろシンバルやフォークギターの弦などが爽やかに響いて好感がもてます。低域も力強くホーンをドライブしており、量感があります。ボンついた感じは全くありません。ボーカルやエレキギターの張り出しも良いです。こう書くと、低音域から高音域まで良いことずくめのようですが、全体的に大味というか、音像が甘いという印象です。ステージ上の楽器やボーカリストの位置に、いまひとつピントが合わないという感じを受けました。
DCU-F125W  測定、試聴
DCU-F125Wは通常のマグネットの後ろにさらにマグネットを貼り付けた構造になっています。後ろのマグネットの磁極が順方向なのか、逆方向(キャンセルマグネット)なのか、どのような効果があるのか分かりませんが、コイズミ無線の商品説明では磁気回路を強化したバックロードホーン向きユニットとあり、数量限定で販売されていました。「バックロードホーン向き」、「数量限定」という売り文句に、ついポチッと衝動買いしてしまった訳です。このユニットはマグネットを追加した分、奥行きが長くなっているので、バックロードホーン向きと言っても、空気室の背面の板につかえないか注意が必要です。Tangbandのユニットも奥行きが長く、今回のリフォームでバッフルを上張りしなければ、底がつかえて装着できなかったと思います。肝心の音質ですが、周波数特性を見ると低域はダラ下がり、高域は強弱を繰り返し15KHz以上は急降下というグラフになっています。このユニットの音を最初に聴いたとき、中高域に刺激のある聴き疲れする音という印象を受けたのですが、鳴らし込んでいくうちに段違いに良くなってきました。特に音場は奥行きをよく表現していて、分解能も高いので、例えばコーラスの人数や配置などがよく分かるし、バックで少しだけ演奏されるマイナーな楽器もしっかり表現しています。ボーカルの張り出しは今ひとつで、少しステージが遠くなる感じもしますが、合格点です。本ユニットの最大のウィークポイントは低域の量感です。この低音でも十分音楽を楽しめますが、他のユニットと比べると、少し音圧不足を感じます。もともとfoの高いユニットですが、ホーンのチューニングをする必要がありそうです。
W4-2142  測定、試聴
フェイズプラグがアンプのVRのつまみみたいなユニークな外観のユニットです。測定データを見ると、高域に向かって音圧レベルの変動が少なく、20KHzまですんなり伸びていて、レンジの広いスピーカーユニットと言えます。コーンの見た目は小さく見えるのですが、低域は驚く程量感があり、バスドラムやベースが力強く鳴ってくれます。やや制動の甘さはありますが、ボンついている感じは全くなく、十分ホーンをドライブしています。それに対し中高域はやや力強さに欠け、奥に引っ込む感じです。まだエージング途中なのですが、何を再生してもベールが1枚掛かったような印象を受けます。再生帯域は超高域まで伸びているはずですが、聴感上のレンジはそれほど広くは感じません。もう少し鳴らし込めば良くなるのでしょうか?あるいはスロートを少し絞ったら、低域のフィーリングが改善されて、全体の印象も良くなるかもしれません。

斎藤家のホームページ