自作ハイエンドスピーカー(測定、試聴)
以前バックロードホ−ンとASWの測定でも使用したWaveSpectraで今回も周波数特性をグラフ化してみました。WaveGeneで生成した20Hz〜20kHzのスイープ信号が録音されているCDを再生し、パソコンに接続したマイクで拾った音をWaveSpectraのピークホールド機能を利用してグラフ化しました。 測定はすべて左右のスピーカー同時音出しで、マイクはリスニングポジションにセットしました。音量はすべて一定です。
400Hz-12dB/octのローパスフィルタを通していますが、グラフで見ると500Hzから落ちているように見えます。fdの45Hzでレベルが上昇しているのが分かりますが、90Hzを中心に中だるみが見られますが、容積を大きめにしたのである程度予想していました。
1.5KHz-12dB/octのローパスフィルタの効果がグラフに現れています。カタログの5KHzのピークはありますがかなり減衰してます。音を聞いてもまったく気にならないです。低域は密閉箱の効果でなだらかに下りています。
1.5KHz-12dB/octのハイパスフィルタを通したのがこのグラフ。低域方向にグラフが上昇しているのはノイズによるものです。
3ユニット同時接続、つまりスピーカーシステムとしてのグラフです。ダブルウーファー効果で90Hz前後の低域の中だるみが2dBほど改善されているのが分かります。fdの45Hz以下は急降下、再生可能と言えるのは36Hzまででしょうか。
fd30HzのASWを接続すると本スピーカーの低域再生限界以下をピンポイントで補完してくれます。fdの45Hzは最初からASWを想定して決めました。ASWはアンプのBスピーカーに接続し、Aスピーカは自作スピーカーセレクタで本スピーカーとバックロードホーンを切り替えて使用するようになっています。

音楽を試聴しての感想ですが、一言で言えばとても明確な音です。楽器一つ一つやヴォーカルを明確に分解、再配置してくれます。これはT250Dの能力によるところが非常に大きいです。たとえばピアノでは低音キーのハンマーがピアノ弦を叩くときの金属音が実にリアル。フルートでは息吹をよく伝えます。低音はバスレフが良く利いて、バスドラムやベースに力強さがあります。演奏の分解能が高いので今まで聴いてきたはずのCDなのに新たな発見があります。

ところで、ミッドレンジのSEASというノルウェーのメーカーのマグネシウムコーン、W18EX001の効果が気になります。私はコイズミ無線のサイトを見るまでSEASというメーカを知りませんでした。コイズミ無線のHPには「SEASは、欧州及び北米の高級メーカーに多数の採用実績を誇り高級スピーカーユニットのOEMでは世界的に一・二を争うメーカーです」と書かれています。その宣伝文句とマグネシウムという材質にひかれて購入したわけですが、ユニット単体の高域に鋭いピークのある周波数特性を見て若干の不安を感じていました。しかし音を聞いてみるとイメージしていたような金属くさい音ではなく、張りのある艶やかな音です。これはFW168HRの接続を外して、T250Dとの2ウェイで試聴した感想です。内容積20.5L、1.5KHzクロスの密閉型2ウェイシステムということになりますが、低域は量感不足ながらも意外と伸びていて、この2ウェイでも十分楽しめます。このユニットはエージングをそれほど必要としないタイプだと思いました。

ここでひとつ実験をしてみました。W18EX001用のネットワーク出力をFW168HRにつなげてT250D+FW168HRの2ウェイで試聴することですです。この組み合わせはFOSTEXのカタログにも出ている推奨システムであり、自作されている方も多いと思います。W18EX001のミッドレンジの有無がこのスピーカーシステムの音質にどれだけ影響しているのか検証するためです。試聴結果ですが・・・、やばい!この2ウェイで十分いけます(汗)。無理に3ウェイにする必要があったのか考え込んでしまうようなすばらしい音です(汗)。でも、よく聴き比べてみるとW18EX001の有無で中音域にはっきりした違いを感じました。2ウェイだとヴォーカルの位置が1歩ステージから後退するのです。コンサートホールの座席の位置が後方席に移動した感じです。しかしデメリットもあります。2ウェイでは気づかなかった中低域のぬけの悪さを少し感じるのです。200Hz以下をダブルウーファー効果で補完する狙いでW18EX001をローカットせず、密閉箱のなだらかな減衰に任せようとしたのですが、200〜400Hzあたりの音がわずかにかぶっているようです。FW168HRの低音はダブルウーファーにしなくても十分力強いので、W18EX001も素直にローカットした方が良いかも知れません。でも、この差は比較試聴した結果分かったことで、3ウェイで最初から聴いている分には十分いい音なので、今のところローカットを実行するつもりはありません。しばらく聴きこんで、少しずつ手を加えていきたいと思います。

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